骨は全部で四個。そのうち、二つはペアです。骨の内部構造などから鳥の骨であることは間違いありません。
手元の図鑑などで「どの部位の骨なのか」調べたところ、三つについてはほぼ特定ができました。以下に、各々の写真とともに紹介します。
(デジカメがありませんので、小さな写真でごめんなさい)
右写真 上腕骨ペア
形から、鳥の上腕骨であることがわかりました。長さは48.00mmで、肩にあたる部分の大きさ(幅)は20.25mmです。このことから、おそらく翼長500mm程度の鳥ではないかと推測しています。
この骨の長さは、43.45mmです。鳥の場合は、大腿骨は体の中に固定されており、外からはみえません。鳥の足の「ひざ」のように見える部分は、実は、わたしたちの「かかと」に相当します。
下写真は斜め上から
上写真は横から
この骨はどの部位なのか、わかりません。腸骨(ileum)?ではないかと思いますが、確証がありません。一部損傷しているようで、もっと平べったい形をしていたものと思われます。端のほうの薄い部分は損傷している模様です。
なお、この骨が発見された島は、直径数10メートルの人工島で、コアジサシ、ベニアジサシが繁殖しています。今年5月から6月に観察された鳥としては、ヒバリ、エリグロアジサシ、ウミネコなど。
皆様のご意見をお待ちしています。また「鳥の骨なら、実物を送ってもらえば調べてあげます」という奇特な方がございましたら、ご連絡ください。
25 Aug.1997
Date: Wed, 27 Aug 1997 14:13:25 +0900
写真を拝見しました。意外と骨太の鳥のようですね。
鳥の種類については想像がつきません。大きさも不明です。
翼開長60〜100cmぐらいでしょうか? 海辺の鳥は下腿部の
骨がないと,脚の長さも想像しにくい。
まったくの当てずっぽですが,翼の骨が太いことと上腕骨と 大腿骨の長さのバランスから考えて,カモ類を考えてみたんで すが,手元にカモの解剖図がないので確証を得ません。
#3の骨は,「複合仙骨 Synsacrum」と呼ばれる,鳥に
独特の骨で,いちばん後ろの胸椎とすべての腰椎,仙椎,さら
に尾椎のいくつかが癒合した,巨大な椎骨です。
この骨にはさらに骨盤(寛骨)が付着し(写真では外れてい
ます)腰の骨格をがっちり固めています。また,鳥は胸椎もほ
とんど不動性で曲がりませんから,胴体全体が1つの箱のよう
になっているわけです。哺乳類では椎骨の癒合は仙椎にしかみ
られず,背骨がしなやかに曲がることが歩行の助けになります。
しかし,鳥の場合,羽ばたいたときに背中や腰がグニャグニャ
曲がってしまっては,上手く飛べません。複合仙骨は,「飛ぶ
ための体のデザイン」の1つであることがわかると思います。
写真の右の方が嘴側です。
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小泉 伸夫(Nobuo KOIZUMI)
家畜衛生試験場 病態研究部 病態生理研究室
http://ss.niah.affrc.go.jp/
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Date: Tue, 28 Aug 2001 14:33:27 +0900
●骨の主について 投稿者:S.N 投稿日: 8月28日(火)14時33分27秒 鳥の骨格に関する情報を調べていて、偶然拝見いたしました。日付が97年 とありますのでもう解決済みか、あるいはお忘れかとも思いますが、上腕 骨については種類がほぼ特定できるかと思いましたので、書いてみました 。写真の上腕骨には肩に接する部分に顕著な突起があるようにみられます が、この形状はハト科に特有のものです。写真だけでは不確実ですが、実 物をフライドチキンや手羽焼きの骨と比較してみるとよくわかると思いま す。日本に普通にいる野生のハトの仲間(キジバト、アオバト)では上腕 骨長は約41mm、ドバトはそれより大きく、飼育下のレースバトでは47 〜52mmというデータがありますので、ほぼレースバトといえるのではない でしょうか。なお、大腿骨その他については写真を見た限りでは同種のよ うにも見えますが、はっきりした識別点を存じませんので、なんともいえ ません。以上、主に 新井真「食べ残しの骨による餌鳥類種の特定 」Goshawk(日本オオタカネットワーク研究誌)vol.2, 1999 に依りまし た。 ○掲示板にコメントされたS.Nさん、ありがとうごさいます。 さっそく、猛禽を追いかけている友人に、同誌の記事をコピーしてもらい ました。いま、ちょっと多忙で、まだ読んでいません。ごめんなさい。 あとでコメントします。